嫌がらせは酷くなる一方。
「辞めたいけど、辞められない。」
職場で執拗な嫌がらせを受け続けると、誰しもこのような精神状態に追い込まれます。
些細なことをきっかけに始まる「職場いじめ」。
穏便に解決する方法はないのでしょうか?
嫌がらせがはじまる理由を探り、解決法を紹介します。
これっていじめ?
職場いじめの例
職場いじめは些細なきっかけや行き違いから始まり、多くの場合、業務外の会話をしない・無視をするなどによって孤立します。
次第に一人でできる仕事ばかりするようになり、休憩時間なども一人で過ごすことが多くなります。
陰口を叩かれ、些細なことで揚げ足を取られるため、集中力が低下して簡単な仕事でミスも増えてきます。
そしてそれを理由に仕事を取り上げられ、雑用ばかり押し付けられるようになり、仕事上の注意・叱責という大義名分で人格否定を含む直接的な悪口を言われるようになります。
こうなると、精神的に追い詰められて、どんどんミスも増えてくるため、真面目なあなたは「自分ができないのが悪い」と思い込んでしまうようになるのです。
言い返せないあなたを見て、嫌がらせは益々エスカレートしていきます。
これに伴ってストレスであなたの体調が崩れ始め、出勤前に腹痛、頭痛、吐き気、下痢などの症状が出始めるようになります。
だんだん眠りも浅くなり、食欲も低下してしまうでしょう。
それでもあなたは「自分にも悪いところがあるからしょうがない」と思い込み、懸命に耐えようとしてしまうのです。
我慢する必要はない
「『職場いじめ』というほど大げさなものじゃない。」
「ちょっとしつこい嫌がらせが続いているだけ。」
「おおごとにするのは恥ずかしい。」
「自分にも悪いところはある。」
などと思っていませんか?
職場いじめのターゲットになる人は真面目で我慢強い人であることが多いので、このように考えてしまい、我慢しすぎてしまうことがあります。
確かに「職場いじめ」というと大げさに聞こえるかもしれませんが、
- 無視
- 陰口
- 直接的な言葉の暴力
- 人格を否定するような過剰な叱責
- 仕事をさせない
- 過剰に仕事をさせる
こういったことをされているようであれば、それは十分「職場いじめ」と言って差支えないレベルの嫌がらせです。
一番はじめにあなたにお伝えしたいのは、我慢する必要はないということです。
それが職場いじめであってもそうでなくても、また、あなたに多少の非があったとしてもなかったとしても、仕事中に仕事に関係のない嫌がらせを受けるいわれはありません。
職場は仕事をする場所です。
嫌がらせによってあなたの仕事のパフォーマンスが下がっているなら、嫌がらせをしている人たちが絶対に間違っているのです。
職場いじめはなぜ始まる?
- 仕事ができる人
- 仕事ができない人
- 容姿が優れている人
- 我慢強い、真面目、気弱で口下手な人
- 1人行動が平気で、群れない人
このような人がいじめのターゲットになりやすい人です。
「仕事ができる人」や「容姿が優れている人」のように、いわれのないやっかみでいじめに発展することがあります。
「仕事ができない人」の場合、仕事でのミスを繰り返し指摘することで、反論の余地をなくさせ、過剰に叱責するような嫌がらせをされます。
「我慢強い、真面目、気弱で口下手な人」は、相手から言われたことに対して強く反論することがないので、ストレスのはけ口にされてしまいます。
「1人行動が平気で、群れない人」は、助けてくれる味方がいないと判断されターゲットにされることがあります。
こうして考えてみると、嫌がらせが始まる理由は「嫉妬」か「ストレスのはけ口」のどちらかであることが分かります。
きっかけは些細なことなのですが、いじめのターゲットになりやすい人は、真面目で我慢強い人が多いので、嫌がらせに対して「自分にも悪いところがあるのかも」と、受け入れてしまい、いじめに発展していくのです。
繰り返しますが、下らないいじめをしてくる相手のほうが悪いのです。
職場いじめへの解決策
転職サイトに登録する
何よりも一番最初にやっていただきたいのがこれです。
本当に転職をするわけではありません。
まずはいつだって辞めることができるという心の逃げ道を作っておくんです。
これがあるとないとでは解決に向けてのモチベーションが大きく変わってきます。
最初に逃げ道を確保しておけば、何かするときに「失敗しても大丈夫」という心の余裕になります。
逆にこれがないといつも失敗に怯えてびくびくしてしまい、行動を起こすのが難しくなってしまいます。
職場いじめや嫌がらせを受けていても、中々他の人には相談しづらいですし、職場で何か行動を起こすというのも勇気がいると思います。
また、いじめまで発展するほどこじれた人間関係を改善するのはかなり骨が折れますし、そんなに大げさにしたくないという方がほとんどだと思います。
転職サイトへの登録は家で一人で行えるので、行動を起こすのに大きな勇気を必要としません。
登録したからといって面談に行かなければいけなかったり、電話がかかってきたりすることもありません。
例えば転職・就職最大手のリクルートが運営して、登録いるリクナビNEXTの場合して経歴と希望条件を設定すると、企業側からスカウトのようにオファーがくることがあります。
オファーを見ていると、今の仕事が全てではないし、いくらでも働ける場所はあるんだと実感することができて、視野が広がり気持ちが前向きになるはずです。
もしかしたらもっと自分に合った仕事や、同じ仕事でもっと条件の良い仕事なんかも見つかるかもしれません。
「転職できる」という選択肢を持つことは、絶対に仕事の向き合い方に良い影響をあたえるはずです。
もしもより本格的に転職を考えるなら、転職エージェントに登録して相談することをおすすめします。
自分の代わりに自分に合った転職先を探してくれて、採用までのスケジュール調整もやってくれるサービスなので、働きながらでも簡単に転職活動ができます。
転職エージェントは当たり前ですが転職のプロなので、転職にまつわるあらゆることを相談できます。
転職先の採用担当者には聞きづらい新しい職場環境や人間関係のことも、担当のエージェントに相談すれば代わりに確認してくれます。
有名な転職エージェントは、
などがあります。
担当者との相性、紹介求人の内容の違いなどがあるので、なるべくなら複数社に登録したほうがいいと思います。

嫌がらせする人と距離をとる
狭い職場では難しいですが、嫌がらせしてくるのが一部の人だけなら、その人(たち)となるべく関わらないようにしましょう。
いじめのような状態まで人間関係がこじれると改善するのは難しくなっています。

関わらないようにしていればいつの間にか飽きて嫌がらせはなくなるかもしれません。
あちらが飽きるまで放っておきましょう。
味方を見つける
あなたとそれほど親しくない人でも、職場にいじめがあること自体を不快に思っている人は必ずいます。
職場は仕事をする場所です。
案外淡々とそつなく一人で仕事をこなしているような人は、内心仕事の効率を下げる嫌がらせに辟易しているものです。
(私はこのタイプに近いです。)
そういう人たちと一緒にいることで、いじめている人たちが何となく嫌な空気を察して自然と解決するかもしれません。
信頼できる上司、同僚、人事などの専門部署に相談する
一人で悩んだり抱え込まずに、まずは同僚や上司に相談してみてください。
あなたの状況を周囲に理解してもらうことでいじめの防止ができるかもしませんし、理解してくれる人が社内にいれば自分の気持ちも少しは楽になるはずです。
会社には、労働者が快適に働けるように職場を管理する義務があります。
職場いじめや嫌がらせについては、本来、上司や会社が中心となって組織全体で問題解決に当たるのが正しい対処法なのです。
【労働契約法第5条】
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
記録をつける
どこかに相談するときには、事実をありのままに報告することが大事です。
これがないと、「勝手に思い込んでいるだけだ」などと言われてしまい、取り合ってもらえないことがあります。
難しいかもしれませんが、された嫌がらせを日付や状況なども含め、細かくその都度メモして記録をつけてください。
ポケットに入るくらいのメモ帳を買って、その場では簡単に
<7/19バカじゃないのか?>
などとメモします。
後で
<7/19頼まれた書類を持っていくと、「言われる前に持って来いよ、バカじゃないのか?」と叱責される。>
など、
- いつ
- どういう状況で
- どのように
- 何をされた(言われた)
かを整理して書き直しておきます。
こうして積み重ねた事実が後々相談等をする際に生きてきます。
写真に残せるものであれば写真も有効ですし、過剰な叱責を受けているのであればボイスレコーダーで録音することも有効です。
メモだけでは加害者に「そんなこと言ってない」と言われてしまい、言った言わないの水掛け論になってしまう恐れがあるからです。
そんなときにボイスレコーダーなどの証拠は、客観的事実を証明するのに役立ちます。
メモをボイスレコーダーで補うというカタチです。
会社全体として取り組んでもらうため、念のため証拠を集めるのです。
録音したからといって、これをどうするということでなくても、「確たる証拠がある」となると、自分の気持ちも強く保つことができます。
要望を文書で提出する
上司や人事部門などに相談しても「あくまでの仕事の上での指導だから」と加害者を正当化したり、「本人同士でよく話し合って」などと、状況改善に向けて何もしてくれないことがあります。
そんなときは、改善の要望を文書で提出しましょう。
改善要求をしたという証拠を残すことが、後々解決が難しくなった時のために有効です。
また、その要求に対しても「会社としてどう対応したか」という文書をもらっておきましょう。
異動の申請
いじめ加害者を改善させるよりも、自分が新しい部署へ異動・転勤したほうが解決が早いかもしれません。
いじめや嫌がらせを受けている事実を打ち明けにくいということもあると思います。
そんなときは何か別の理由をつけて異動・転勤の申請をするのも一つの方法です。
仮にいじめ加害者が何らかの注意を受けても、今後もその職場でその人と関わって仕事をしていくのは難しいと思います。
小さな職場では難しいですが、いじめ加害者とは別の職場で働けるよう改善の要望と合わせて、異動・転勤を希望しましょう。
公的機関へ相談する
おおごとにするのは嫌だと思うので、ほとんど最後の手段ですが、会社がきちんと対応してくれない場合は、各都道府県労働局に設置された「総合労働相談コーナー」へ相談します。
行政から会社に何とかするよう注意してもらうのです。
相談の後、労働局に職場いじめについて「紛争解決援助の申立」を行うことになります。
これによって、労働局から会社へ必要な助言や指導が出されたり、「あっせん(調停のようなもの)」の手続きに移行する場合には労働局から問題解決に向けたあっせん案が出されることになります。
まとめ
- まずはいつでも転職できるという選択肢を用意しておく。
- 執拗な嫌がらせ、いじめに耐えて我慢する必要はない。
- 職場いじめは些細なことをきっかけにして、「嫉妬」と「ストレスのはけ口」を原因に始まってしまう。
- 働きやすい労働環境を整えるのは会社の義務。対策は会社が組織としてやるべきこと。
大事なことは、絶対に限界を超えて耐えて我慢しないことです。
我慢したところでその先には何もありません。
あなたが自分らしく働くために必要なら職場を変えることは逃げることではありません。
何もしなければ何も変わりません。
何でもいいのでまずは行動してみてください。
きっとそこからより良い未来が切り開かれていくはずです。